月影郷

‐ 行蔵は我に存す、毀誉は他人の主張 ‐

チャーシューメン@天神屋(秋葉原)

Posted By S.Yamada on 2009年6月28日

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秋葉原におけるラーメン店の激戦様相は、多分、麺屋武蔵武仁の参入で激化へと向かっている・・・ように思えるが、アキバの客は年齢層が幅広い上にラーメンへの舌だけは肥えている。多分、落ち着くところへ落ち着くであろうと考えている。

ちなみに弊ブログにおいて紹介するラーメン屋は、原則として「うまい!」「すげえ!」と高い評価が出来るもののみにしている。これは褒める事が好きだから、という理由ではない。「まずい」と思ったり、「なんだよここ」と思った店は紹介したくないからだ。あと「ああ、普通だね」と思うところも、わざわざ書くことが無い訳だ。あくまで俺のお気に入りを、というのが弊ブログの主旨である。

さて、そんなラーメン屋がひしめく秋葉原のちょっと道をはずれて神田佐久間町のほうに、いつの頃からラーメン屋が出来ていた。

その名は天神屋。湯島天神から近い・・・とは言えないが、なにやら縁はあるのだろう。今日はそんなお店のご紹介だ。

RIMG1013値段は、まぁこの界隈なら高くも無く、安くも無くという中庸な値段。店内に入り食券を渡してぼんやりとメニューを眺めていると、なにやら嫌な文字が飛び込んできた。

「完全無化調宣言」

ああ、やっちまったか、無化調の店か。

この日は確か、割合こってりしたラーメンが食べたくてラーメン屋を探していたのだが、なんとなくとんこつっぽいという理由でこの店に飛び込んだ。

通常、こってりが食べたい場合に無化調を売りにするラーメン屋に入るのは、完全にアウトである。

理由は簡単で、味が薄く感じてしまうからだ。しかしこれは、今でも無化調でがんばっているラーメン屋たちの名誉を守るために書いておくが、これは我々の味覚がある種「麻痺」しているからだ。普段食べるもの、あらゆるものが化学調味料の味で固められている。我々の舌は想像以上に塩っ辛い味覚になれてしまっているのだ。

とは言え、ラーメンは理屈で食べるのではなく、食べたいから食べるのだ。こってりが食べたいからこってりを喰う、これは消費行動としてはなんらおかしいことではない。

故に俺は非常に困ったし、困ったけど、今更勘弁してくれと言う話でもない。

そうだ、整体の先生との話の種に一丁ここのを頂くことにしよう、そう腹を括る。

もうちょっと無化調の話を。

無化調のラーメンへの俺の評価はそんなに高くないのだけど、この取り組みは絶対に必要な取り組みなのだ。何故なら、食品アレルギーを持った人にとっては、通常のラーメンはあぶなっかしくて喰えたものではないものだからだ。そういう人たちだって、ラーメンを食う権利はあるはずだ。そしてそういう人たちが安心して食える美味しいラーメンは、俺たちにとっても安心で美味しいはずなのである。俺は無化調を否定しないし、是非続けて頂きたいと思うラーメンだ。

さあ、そんなこんなでラーメンの登場である。俺が注文したのはチャーシューメン。

RIMG1014非常に素朴で、シンプルな面構えである。煮卵のトッピングが嬉しいのと、函館出身者としては、ラーメンの具にほうれん草が入っているのも嬉しい。

函館のラーメンはどういうわけだかこのほうれん草に加えて、麩が入っていることが多い。俺が東京のラーメンに海苔が入っているのをやいのやいのと言うと、こっちの人間で函館のラーメンを知る奴らは「おめぇらなんて麩を入れてるじゃねぇか!」と返してくるのである。まぁ、どうでもよろしい。

さあ、問題は無化調であるという点だと言うことを上述したのだが、驚いたことに、魚介系のおいしそうな、そしてかなり強い香りが俺の鼻腔をくすぐるのだ。

何にせよ、食べてからじゃなければ何も分からないだろうとまずはスープをすすってみて驚いた。

味が、濃い。

それも、美味い!

今までの無化調ラーメンへのイメージが完全に崩壊した味だった。一体なんだったのだ、これまでの無化調のラーメンは、と思わせるくらいにはっきりとスープの中で味が自己主張をしているのだ。

魚介系とは言え、大勝軒などのような如何にも魚!!という自己主張ではなくて、そこには魚介のみならず様々な出汁が効いているのだろうと思わせる、非常にふくよかな味わいだったのだ。言ってみれば、やさしい美味しさ、というのだろうか。

無化調でここまで味を濃く出せるというのは、仕込みにどれだけ手間をかけているのか、想像すら出来ない。少なくとも、一日そこらで仕込める味ではないはずだ(で、店内に何日かかけて仕込むと、はっきり書いてあるわけだが)。

さて傑出したスープを堪能した後は、ラーメンとしての本筋である麺だ。

RIMG1016麺は中太麺で若干のちぢれが見られる。歯ごたえもあり、もっちりして美味しいし、スープともよく絡む。

と言うよりは個人的には無化調のスープの件に圧倒され、殆ど麺やチャーシューなどの印象は薄くなってしまったのが本当のところ。

とは言え、スープを台無しにさせるようなものでは決してなく、この一杯を構成する大事な要素として、それぞれが仕事をちゃんとこなしていたという印象だ。

ちなみにチャーシューは、いつも拘っている点「ほろほろと崩れず、ちゃんと肉としての歯ごたえがあること」において、特に問題なかったという記憶がある。

なによりやはり、スープだ。

無化調であることから、ラーメンを食べ続けるとき特有の現象である「妙に水が飲みたくなる」というのが全く起きない。これは個人的に最も驚いた点だ。

俺は外食一般、兎に角水を飲みたがり、下手をすれば水でおなか一杯になりかねないくらい、水を飲む。その俺が、最初の一杯と食べ続けているときに口をつけていた一杯で、水は飲まなかったのだ。

これがまさに、無化調の力である。

こうなるとラーメンへの集中は凄まじく、まさに荒れ狂う狂馬の如く、麦畑を襲うイナゴの如く、ひたすらラーメンを貪り食う俺の姿があるだけだ。もう、どんどん喰う。チャーシューはとっくに片付いた、麺も終わった、おいスープが残ってるぞ!

そしてそんなノリでラーメンを頂いたわけで、この有様である。

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はい、完食でございまぁす、と。

久々に、ラーメンを食って感動するという得がたい体験をした。これは本当の意味で「誰とでも食べられる」美味しいラーメンであることは間違いない。

「無化調?はぁ、だめだめ」とか言っているラーメン同好の士の方々、是非この新しい味を味わってほしいと思う。味は個人の好みなのは間違いないが、誰にでも食べられる、誰にでもやさしいラーメンというコンセプトは、今日日、客に対して一方的にコンセプトを押し付けようとする人気有名店に対する一種のアンチテーゼだと思う。

誰にでもやさしいというのは、誰にとっても美味しくなり得る、一種のユニバーサルデザインだ。ユニバーサルラーメン。

尚、お店ではWebサイトも持っておられ、店主による、非常に生々しい、けどなんだか可笑しい雰囲気の日記も読むことが出来る。

アキバの隠れた(隠れちゃいないんだろうが)名店として、俺はこの天神屋を大きく推したい。つか、また喰いに行きたい!

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住所:〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町3-28
電話:03-3861-0951
営業時間:月~金 11:30~21:00/ 土 11:30~15:00
定休日:日曜・祝日

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