月影郷

‐ 行蔵は我に存す、毀誉は他人の主張 ‐

とりあえず、WILLCOM NSをいじってきた。

Posted By S.Yamada on 2009年4月19日

コメント蘭での議論をどう収拾つけようか、そんなことを色々考えながらいつもどおり散歩していると、やはり寄ってしまうアキバのヨドバシカメラ。ふと稲妻のように俺の頭の中に啓示がもたらされた。

「ヤマダシモンよ、WILLCOM NSをお触りしてくるのだ!」

神様からなのか、ウルトラの父からなのかはさておき、そう言えばという思いで早速店内へ。ありましたありました、WILLCOM NS特設ブース。但し店内ということもあり、写真は撮ってない。通常、店内というのは写真撮影禁止なんだからな?これは他店からの価格調査をさせづらくするという意図も大きいのだ。まぁ、意味はないんだけどさ、最近じゃ。

で、いじりました、WILLCOM NS。
まず、動作自体は割合軽快そのもの。さすが、余計な機能を大胆に省いただけはある。バイブルサイズのシステム手帳に合わせているだけあって、結構でかい。何より液晶のでかさはこれだけでも使いやすいという話だ。タッチ感も悪くはない。

jigletsは初めていじったが、ブラウザ機能に関しては大きくレイアウトされたサイトの表示も、割合きれいに再配置され、中々に使いやすい。何より、NetFrontへの移行が簡単に行える機能は、ある意味、目から鱗。なんでも一つのアプリでやっちまおうってのは、土台無理な話なのだ。

デスクトップも素っ気無いがこんなもんじゃなかろうか、という気もする。こういうデザインなんて慣れであり、あるいはあとでどうせカスタマイズする方法が出てくるはずだ。この辺はちょっと評価的に微妙かもな。

通信速度だが、ブラウジングするサイトによるのかもしれないが、やっぱりPHSという感じだ。Googleニュースなどを読む際は、テキスト版を読めば割合快適だろうと思う。しかし、気の短い俺にとっては、ブラウザの「中止」ボタンは必須。jigletsにはそんなメニューがなかった気がするが、どうだろうか。ページ読み込み中には、ほとんど動作を受け付けないという作りも、俺にはちょっと慣れが必要な部分だろう。

ある程度好意的な印象ではあったが、これだけは「おいちょっとまて」という部分もある。

これはちゃんとした使い方がまだ分かってないせいなのかもしれないが、言ってしまえば「サスペンドから復旧するのに、40秒近くかかる」というのはどうなんだよ、という話だ。

この手のデバイスを利用するユーザーは、当然アナログ的な情報管理技法を好むユーザーであろう。辞書を開くにしたって、大体は自身の思考のスピードとそれは連動するもんだ。

ところが、「ああ、ちょっとNSで調べるか」って時に電源ボタンを押して1分弱待たされるのは、これはいかがなものかとは思う。

ただ、電源ボタンを短押しすると画面が消えた。でも画面などをタッチするとすぐに画面が復旧される。これはなんらかのオプションや操作で、画面タッチではなく、電源ボタンの短押しで復旧するという操作も可能であるということだろうか?

であれば、全く問題はない。

尚、重さであるが、これはそれほど気にならない程度の重さで、「軽い」と表現しても差し支えないと思う。

一部の評価の中で「プレイヤー機能が無いのに、なんでステレオミニジャックがあるんだ?」というものがあったが、フラッシュやらなにやら搭載しているということは、当然動的コンテンツも閲覧可能なはずで、これはjigletsなどにおいてプレイヤーなどが提供される可能性も高い。

あと、スケジュール管理とかは?という話だが、これはGoogleカレンダーとの連携同期機能が提供されているらしく、時流に乗った妥当な判断だと思う。Googleのサービスに依存するということ自体への良し悪しはともかくとして。

というように、位置づけ的には非常に難しく、多くの古参PHSユーザーにはあまり評判はよろしくない端末だ。しかしそれは当たり前、この製品は従来のユーザーとは全く違う層を狙って発売された製品だ。

実際、ネットの評価や俺の周りの人間の評価では、アナログとデジタルのいいところどりがしたいのだが、この製品は中々に面白いのじゃないか、という声も聞こえる。そしてそんな評価をしている人間は、従来のPHS製品に余り興味を持っていなかった連中だったり、iPod Touchなどを利用している連中が多くいたことにちょっとだけ驚いた。

これは私見なのだが。なんだかWILLCOMが特にWILLCOM COREという製品のもって行き方を垣間見せられた気もする。WILLCOM COREは網のサービスとして音声のやり取り、つまり電話というサービスを持たないものであり、電話の部分は引き続き現行のPHSを利用するとのこと。

つまり、WILLCOMといえば音声端末といった印象のある中で、以降は徐々に通信機能つき製品、と言えばいいだろうか。なんらかのデバイスに通信機能をつけたもの、という製品の展開を狙っているのではないかという気がする。

となると、以降、ZERO3から入ってきたユーザーなどはWILLCOMのターゲット層から若干離れるか、あるいは相対的な重要度が下がる可能性がある。実際、WILLCOMの屋台骨を支えているのは俺らのようなPHSヲタ(苦笑)ではなく、若い層や法人層である(財務諸表が見られないのであくまで憶測だが)。

WILLCOM NSという製品から読み取れることは、例えばこれが業務用の通信端末だとして、どんなシーンで使えるか、ということだ。プッシュ型のサービスはアプリの作りこみ次第、網のサービスの作りこみ次第でいかんともなる。これが例えば病院内の電子カルテの閲覧や、院内の業務用端末として使われたらどうか。実際にそういう利用のされ方は始まっており、去年のInteropなどでも、特に業務用端末でWILLCOMのW-SIMに対応した製品など、思いのほか多くあったのも印象的だった(バーコードリーダーなど)。

通信業界はここ最近、はっきり言えば頭打ちだ。サービスの飽和と言うべきかも知れない。あるいは、各種の次世代網(NGNやWiMAXなど)が始まっては来たが、とてもじゃないがまだまだ多くに採用されるような次元ではない。

新しい網で前と同じことをしたとしても、事業者としてはなんのうまみもないのだ。ましてや、網に対応するメーカーなどにとっては、製品を開発するだけでエライ工数がかかり、とんでもない額が自社から出て行くのだ(網側サービスの仕様を教えてもらうだけでもエライ金がかかるのだ)。この現実を鑑みるに、次世代のサービスに対応する企業は、自ずと今まで提供してきたサービスからの、なんらかの転換をするようになるだろう。

今回のWILLCOMの新製品を見ていると、この製品がどうこうというよりも、これからWILLCOMがやろうとしている傾向が見え隠れするようで、楽しみでもあり、ちょっと寂しくもある。WILLCOM COREが大方の予想に反して各企業が採用しまくり、メインの収益源がそっちに移った場合、競争力や利益の少ないであろう電話事業は、クローズする可能性だってあるわけだから。

まぁ、当面はないだろうな(笑。

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